銀の茶せん
英国の貴族の子弟が行く学校に留学しておられた、セレブなご婦人とシャンパンを飲みながら食事をしたことがある。
そのとき、バッグの中から細長い小さなケースを取り出された。
なかには、銀製の細い棒状のものが入っていた。それを押すか、引くかされると、少しふくらみのある銀製の茶せんのようなものが先端から現れた。
それをシャンパングラスに入れて、静かにかき回すと、消えかかっていた泡がまた立ち始めた。
「それはなんですか?」と聞くと、英国製でウイスクというのだと教えてくれた。それで「ホー」と感心しておけばよかったのに余計なことをいってしまった。
「それでハナの穴の中をかき回したら、気持ちいいでしょうね。鼻くそも取れて」。まったく余計なことをいったものだ。嫌われたにちがいない。
つい漫画家同士の会話の癖が出て…。