ありがとう カンポン (国際マンガ展)

これは東海岸にあるコタバルのセントラル・マーケットである。その大きいこと、ゆうに野球場ぐらいある。むかし王朝文明の栄えた都市であり、むかし日本軍が上陸した地点でもある。

この『漫画家大集合』に、一人だけマンガ家でないアメリカ人が招待されていた。カメラマン兼ライターのW・ウイリアムズさんである。ぼくには特に英語をゆっくり話してくれる。そういう人がほんとうに知性のある人だ。ラットさんに「彼はワイズだ」そう言うと、ワハハと笑って、「写真もいいし、文もうまい、それで招いたんだ」。「それは正しい」。ぼくの英語は、映画に出てくるインデアンとか、ターザン級と思ってもらえればいい。

最後にクアラルンプールで「国際マンガ展」が、あるのでマンガのキャプションをつけるために必要な人だ。

 
   カンポン・スイート
  
この絵はマンガ展に出したものの一つ。ラットさんはカンポン(いなか)が大好きで、有名なペナンの高級リゾートなどは、タッチ、アンド、ゴー式の1泊しかさせてもらえなかった。
 
マラッカに行く途中、タンジュン・クリン村というところで、このマンガのホテルの屋上にあるような伝統的なお宅を訪ね、中に入れてもらえたのが印象的だった。中には百歳近いおばあさんと、八十歳近いその娘さんがいて、ほかの家人は働きに出ているようであった。暑い国の暮らしの知恵。高床式の各部屋を自然の涼風が吹き抜ける。クーラーなんかいらない。健康にもいいのであろう。



モンキー フューチャー(メード イン ジャパン) 

この絵も展覧会に出したものの一つ。州都のクアラトレガンヌから少し南下した海辺にタンジョン・ジャラ・ビーチ・ホテルがあった。このホテルはすっごくよかった。
褐色の高床式木造コテージ群が、広い敷地の中にゆったりと散在していて、部屋がすごく広かった。クーラーはなく、高い天井の二カ所に取り付けられた大きな扇風機を壁のスイッチで強・中・弱に切り替えられる。
家具も柱もベランダの手すりもマレー王朝の文化が感じられ、ツインベッドの一つにゴロンと寝転んで、ベランダいっぱいの、少し曇りのかかった大きなガラス窓からヤシの葉などを眺めていると、心がゆったりしてくる。

ロビーの庭でサルにヤシの実を取らせている人がいた。それでこんなマンガを描いた。キャプションはバスで移動中に、例のアメリカ人に相談した。「メードインジャパン」と、まずぼくが言う。彼が考えている間に「スーン」と「フューチャー」をつぶやく。すると、ちゃんと本物らしい英語になるのである。計7点お願いした。
         

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